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渋滞した道路や高速道路を走行する際、車間距離が適切でないとさまざまなトラブルを招くリスクが生じます。例えば、車間距離が狭過ぎると前の車が急停車した際に追突する危険があります。反対に、車間距離が広過ぎると後続車のドライバーをイライラさせてしまい、「あおり運転」を引き起こす原因にもなりかねません。この記事では、走行状況に応じた適切な車間距離の目安や、事故を未然に防ぐための具体的なポイントについて解説します。
主なトラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。
・追突事故
・あおり運転とみなされるリスク
・危険予測の遅れ
・渋滞の誘発
◎追突事故
車間距離が不適切なときにもっとも懸念されるのが追突事故です。前の車が急ブレーキをかけた際、十分な車間距離を確保していないと停止が間に合わず、追突してしまいます。特に雨天時や夜間など、視界が悪く路面が滑りやすい状況では停止距離が長くなるため、こうした条件下では「いつもと同じ感覚」では止まりきれないという意識が必要です。
◎あおり運転とみなされるリスク
前の車との距離を詰めすぎると、運転者に威圧感を与え、あおり運転とみなされるおそれがあります。適切な車間距離を保つことが大切です。
◎危険予測の遅れ
回避行動を取るタイミングが遅れる原因の一つが、前の車との距離が近すぎることです。状況に即した判断をするためにも、余裕を持った走行を心がけましょう。
◎渋滞の誘発
不適切な車間距離での走行は、道路全体の流れに悪影響を及ぼします。
前の車のわずかなブレーキ操作が後続車に連鎖し、交通の流れを断続的に乱してしまうのです。
こうした加減速の波が積み重なることで、結果的に慢性的な渋滞を引き起こすことになります。
安全運転には、適切な車間距離の維持が不可欠です。単に追突事故を防ぐだけでなく、あおり運転のような無用なトラブルを避けるためにも非常に重要となります。実際に日本自動車連盟(JAF)の調査(※1)では、自動車教習所の指導員の多くが路上教習において「車間距離が短い」ことを指摘しています。
※1 一般社団法人 日本自動車連盟「自動車教習所の指導員がもっとも感じる“おろそかになっているルール”
「車間距離が短い」が61.2%」
◎適切な車間距離の目安
車間距離が狭くなることを避けるため、一般道路では前の車が標識などを通過してから自分がその場所を通過するまでの時間を計るのが効果的です。「ゼロイチ、ゼロ二」とゆっくり2秒数えると、適切な車間距離を保てるでしょう。高速道路は運転速度が速いため、さらに余裕を持って3秒以上数えることをおすすめします。
◎状況に応じた車間距離の調整
運転状況に応じて車間距離を広めに取るべきケースも存在します。例えば、運転手が疲労している場合はブレーキが実際に利き始めるまでに車が走る「空走距離」が長くなるため、より多くの車間距離が必要です。
「雨天で路面が濡れている」「タイヤがすり減っている」「重い荷物を積んでいる」といった悪条件下でも、ブレーキが利き始めてから車が停止するまでの「制動距離」が伸びるので注意しましょう。このような状況では、道路条件が良いときの2倍程度の車間距離を確保すると安心です。
また、前の車がトラックの場合も注意しましょう。車間距離が近いと視界が悪くなるため、普段より長めの車間距離を取るのが賢明です。
安全かつ円滑な交通環境を築くためには、いくつかのポイントを意識して運転することが大切です。例えば、時間に余裕を持って出発し焦らず運転することで、無意識に車間距離を詰めてしまうことを防げます。また、車線変更や合流の際は早めにウィンカーを出し、速度をキープしてスムーズに走行できるように心がけましょう。これにより、後続車への急な負担を避け、無用なトラブルを防ぐことができます。
加えて、不要な急ブレーキは後続車をヒヤリとさせ、あおり運転に発展する原因にもなりかねません。常に前方の状況をよく見て、早めにアクセルを緩めるなどの予測運転を心がけることが重要です。例えば、2台前の車のブレーキランプを見るなど、さらに先の状況を把握する意識を持つと良いでしょう。そして、ほかの車に道を譲る「お先にどうぞ」の気持ちも、自分自身が穏やかな気持ちで運転する上で重要です。
あおり運転など車間距離をめぐるトラブルに遭遇したら、冷静な対処が何よりも重要です。
◎相手を刺激しない対応を!
まずは安全な場所で道を譲り、相手を先行させることを最優先にしましょう。相手が割り込んできても、急ブレーキは避けるのが賢明です。速度を落とし、適切な車間距離を保つようにしてください。
◎身の安全を確保する行動を!
もし追い回されるような状況になったら、コンビニエンスストアやサービスエリアなど、第三者の目がある安全な場所へ速やかに避難しましょう。しつこく追い回されるなど事態が深刻であれば、警察への通報も検討してください。
このとき重要なのは、相手が車を降りて近づいてきても、絶対に自分の車から出てはいけないということです。身の危険を感じたらドアをロックし、すぐに警察に連絡しましょう。
◎万が一に備えよう!
ドライブレコーダーを設置しておくとトラブル時の有力な証拠となるため、普段から準備しておくことをおすすめします。
常に安全運転を心がけ、適切な車間距離を保つことで、あなたもほかのドライバーも安心して走行できる交通環境を築きましょう。
いかがでしたか?夏休みに入り、レジャーに行く人も増える8月は特に交通量が増える時期です。車間距離を適切に保ち、安全運転を心がけて、トラブルのない快適なドライブを楽しんでください。
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