あなたの安全運転とエコドライブをサポート。『安全ドライブ大学』
最近では自動運転や自動ブレーキなど、運転の安全性を高める機能を搭載した車が増えてきました。CMなどで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?ここでは、ADAS(先進運転支援システム)について、主な機能や自動運転との違いなどをあわせて解説します。
ADAS(エーダス)とは「Advanced Driver-Assistance Systems」の略称で、先進運転支援システムのことを指します。先進運転支援システムは、ドライバーが安全かつ快適に運転できるようにサポートする機能の総称です。例えば、ドライバーがブレーキを踏まなくても先行車との間隔を自動で調整したり、走行車線からはみ出さないようにコントロールしたりする機能があります。
運転ミスによる事故防止や、高齢者の運転サポート、ドライバーの負担軽減などのメリットがあり、現在ではほとんどの車に導入されているシステムです。
AD(エーディー)は「Autonomous Driving」の略で、自動運転のことを指します。ADAS(先進運転支援システム)はAD(自動運転)と同列で語られることが多いですが、ADASはあくまで人間の運転をサポートするためのシステムであり、運転に関するあらゆる予測や判断をシステムに任せる「自動運転」とは異なる概念です。
自動運転はドライバーがどの程度運転に関与するかでレベルが5つに分かれています。
JSAE(米国自動車技術会)は、ドライバーの運転への関与度と自動運転のレベルを5段階に分けており、日本でも下記のレベル分けを採用しています。
◆レベル1… |
アクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態。 |
◆レベル2… |
アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態。 |
◆レベル3… |
特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない。 |
◆レベル4… |
特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 |
◆レベル5… |
自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。 |
出典:国土交通省「報告書資料編 自動運転に関する用語」
レベル1~2は運転主体が「人」であるのに対し、レベル3~5は運転主体が「システム」になります。ADASの機能はレベル1~2に相当します。
ADASにはドライバーが安全かつ快適に運転できるようサポートするさまざまなシステムが含まれています。ここでは、代表的な機能を6つ紹介します。
◎FCW(前方衝突警告)
FCW(前方衝突警告)とは、先行車と衝突しそうになったときに危険を知らせてくれるシステムです。車間距離を自動で計測し、先行車との距離が近づいたり急ブレーキによって衝突の危険性があるときに、車内のモニター表示や音でドライバーに警告します。
◎AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)
AEBS(衝突被害軽減ブレーキ)とは、追突や衝突の危険性を判断して、被害を最小限にするために自動的にブレーキを作動させるシステムです。FCWによる警告のあともブレーキ操作がなく、追突や衝突が避けられないと判断された場合に発動します。
◎ACC(車間距離制御装置)
ACC(車間距離制御装置)は、車間距離を一定に保ったまま走行してくれるシステムのことです。FCW同様、自動で車間距離を計測し、先行車と適切な距離を保ったまま一定の速度で走行します。主に高速道路の走行時に使用され、渋滞時のドライバーの負担軽減にもつながります。
◎LDW(車線逸脱警報)
LDW(車線逸脱警報)は、道路上の車線を検知し、車線からはみ出て走行している場合にドライバーに警告するシステムです。ACC同様、高速道路での使用を想定されたシステムです。モニターでの表示や音での警告だけでなく、ハンドルを振動させて知らせる場合もあります。
◎LKAS(車線逸脱防止支援システム)
LKAS(車線逸脱防止支援システム)は、車線を維持しながら走行してくれるシステムです。LDWが車線からはみ出た際に警告してくれるのに対し、LKASでは警告を出したあとに走行車線の中央に戻るための操作を自動で行います。
◎NV/PD(ナイトビジョン/歩行者検知)
NV/PD(ナイトビジョン/歩行者検知)とは、赤外線で歩行者を検知するシステムのことです。夜間や電灯が少ない道路、濃霧の中を走行する際に役立ちます。赤外線によって歩行者を検知し、専用ディスプレイに表示することでドライバーに知らせてくれます。
交通事故の減少やドライバーの負担軽減のために、ADASをはじめとした自動運転実用化にむけた動きは近年加速しています。ドライバーにとってはメリットの多いシステムですが、「自分で運転する楽しみが減ってしまう」、「万が一交通事故が起こった時はどうすればいいの?」など、もちろん懸念点もあります。自動運転が実用化される前に、これらのメリットや懸念点はしっかりと理解しておくのがおすすめです。
いかがでしたか?自動運転技術の進歩によって、ドライブはどんどん安全かつ快適になっていますが、ADASがあるからと言って過信せず常に交通安全を心がけましょう!