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9月17日は敬老の日です。少子高齢化が叫ばれる近年、シルバードライバーの数も増加の一途をたどっているのは間違いありません。また、今は違っても、免許返納をしない限りいつかは自分自身もシルバードライバーになる日が来ます。だからこそ、今のうちからシルバードライバーの心得についてしっかり理解しておきましょう。
シルバードライバーとなったことを、周囲に知らせる役割を果たしているのが「もみじマーク(高齢者マーク)」です。70歳を過ぎたドライバーには、もみじマークを表示する努力義務が課せられています。ただ、あくまで努力義務のため、表示していなくても罰則が下されることはありません。もみじマークを表示するかは、あくまでドライバー個人の判断に委ねられています。
もみじマークをつけている車に対して、他の車が側方への幅寄せや割り込みをすると、道路交通法71条に違反しているとされ、5,000~7,000円の罰金処分が下されます。もみじマークを取りつけておけば周囲の車に一層の注意を促す効果が期待できるため、ドライバー自身もより安全運転に努めることが大切です。
もみじマークを車に取りつける場合は、道路交通法で定められた通りの位置(地上0.4m以上、1.2m以下の位置)に取りつけるのが望ましいとされています。また、周囲のドライバーから見えやすくするため、車の前後両方にマークを取りつけるとより効果的です。
もみじマークを取りつける以外にも、シルバードライバーとして注意を払わなければならない点は非常に多いといえます。ここでは、その中から代表的な注意点をいくつかご紹介します。
◎視覚の衰え
高齢になると徐々に確実に衰えていくのが「五感」です。中でも車を運転するうえでもっとも関係してくるのが視覚でしょう。視覚が衰え視野が狭まると、運転中に目で得られる情報が少なくなってしまい、交差点での見落としや標識の無視などが原因の事故へつながってしまいます。
加えて反射神経も鈍くなり、突然の飛び出しなどへの咄嗟の対応が難しくなるため、車に乗る際には慎重な運転が求められます。また、自分の周囲にシルバードライバーが運転する車を確認した場合、「車間を空ける」「ポンピングブレーキで停車の合図を送る」などを日頃から徹底しましょう。
◎認知機能の低下
高齢者が運転をするうえで、注意したいのが認知機能の低下です。低下が進むと、車の走行中に道がわからなくなり、道路を逆走するなどといった事故を起こしてしまう恐れがあります。対策として、警察庁では「75歳以上で運転免許証の更新期間が満了するドライバー」を対象に、認知機能検査を実施しています。検査を受けなかったり検査で問題が発覚したりした場合には、免許を受け取ることはできません。
認知機能の低下は本人が自覚しづらいという特徴もあります。もし自分の身の回りで、認知機能が低下しているように感じるシルバードライバーがいる場合には、事故を未然に防ぐためにも認知機能検査を受けるよう説得していきましょう。
◎体力の減少
車の運転には多くの体力を費やします。若年者に比べ高齢者は身体機能が低下しているため、長時間の運転は禁物です。体力が低下した状態で運転を続けていると、集中力や判断力が失われ、事故を起こす可能性が高まります。体力に自信のない方はもちろん、シルバードライバーとなってからの運転ではこまめな休憩を心がけ、決して無理はしないようにしましょう。
◎自分への過信
上述したように、高齢者になるとさまざまな機能が衰えてくる一方で、自分の運転技術に対する自信は衰えていないのが、一部のシルバードライバーに見られる特徴です。NHKが製作している番組「クローズアップ現代」の調査によると、「事故を回避する自信がある」と考えているドライバーは、若年者世代よりも高齢者世代の方が圧倒的に多いことが判明しています。しかし、現在の能力よりも長年運転してきた経験を過信してしまうのは大変危険です。もし家族にそういったシルバードライバーがいるなら、プライドを傷つけないよう丁寧に忠告するようにしてください。
いかがでしたか? 今は自分と関係がないと思っていても、将来的にシルバードライバーとなるのはみな同じです。そのため、今のうちから高齢者になったときの運転を意識しておくことは非常に大切です。また、もし高齢者になってからの運転に自信が持てないのであれば、免許の自主返納という手段もあります。自分のためにも周りの人たちのためにも、そのときの状況に合った正しい判断をするようにしてくださいね。