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真夏に車に戻ったとき、「車内がこんなに暑くなっているとは思わなかった」「ほんの短時間で蒸し風呂のようになってしまって驚いた」という経験をしたことはありませんか?外気温が30℃程度でも、直射日光が当たると車内温度はわずか10分ほどで50℃を超える場合があります。そのため、夏の時期に子どもやペット、あるいは物を車内に置いたまま離れてしまうと、思わぬ事故につながる恐れがあります。
この記事では、夏の車内に絶対に置き忘れてはいけないものや、してはならない行為について解説し、それぞれの対策方法もご紹介します。
夏場の車内は非常に短時間で気温が上昇します。特に直射日光が当たる場所に車を駐車すると、車内温度は50℃を超えることも。密閉された車の中は湿気がこもりやすく、高温多湿の「蒸し風呂」状態になる恐れがあります。
さらに、直射日光によってダッシュボードや座席、シートベルトの金具などは極めて高温になります。中でもダッシュボードは表面温度が70~80℃に達することもあるため、うっかり触れてしまうと火傷を負う危険があります。
このような環境下で車内に残された子どもやペットは自力で体温調節ができず、熱中症をはじめとする深刻な健康被害につながります。場合によっては、命を落としかねない重大な事故につながるため、十分な注意が必要です。
炎天下の車内では、さまざまなものが短時間で高温になります。状況によっては発火や爆発が起きたり、命に関わる事態に発展したりするリスクもあります。こうした事態を防ぐためにも、「車内に置き忘れたら危険なもの」をあらかじめ把握しておきましょう。
◎スマホなど精密機器
スマホやノートパソコン、タブレットといった精密機器は、バッテリーにリチウム電池を使用しています。これは直射日光や高温多湿の環境に非常に弱く、悪条件が重なると発火するリスクがあります。そのため、たとえ短時間でも高温になる恐れのある車内に置き忘れないようにしましょう。最近では「スマホをカーナビとして使用している」という方も多いため、車内のスマホホルダーに置いたままにして車を離れることも避けましょう。
◎ガスボンベやライターなど
「夏は家族や仲間とバーベキューを楽しむ」という方もいるでしょう。バーベキュー用品と一緒にガスボンベを車に積んで移動するケースも多いと思いますが、ここでも注意が必要です。高温の車内にガスボンベを放置すると、内部のガスが膨張して爆発するリスクがあるからです。同様の理由で、ライターやスプレータイプの日焼け止め、制汗スプレーなどにも爆発のリスクがあるので絶対に放置しないようにしましょう。
◎乾電池
乾電池を暑い車内に放置しておくと、内部の圧力が上昇して発熱・発火するリスクが高まります。使用済みの乾電池は車内に放置しがちなので、あらかじめ撤去しておくようにしましょう。また、同様の理由でモバイルバッテリーの置き忘れにも注意してください。
◎眼鏡や水入りのペットボトル
眼鏡を直射日光が差し込む場所に置くと、レンズに太陽光が一点集中して「収れん火災」が発生するリスクがあります。眼鏡だけでなく、水の入った透明なペットボトルなども、光を集めるレンズの役割を果たしてしまうことがあり、直射日光下に放置すると同様の火災リスクが考えられるので注意しましょう。
◎子どもやペット
子どもや高齢者、ペットを車内に残してしまうと、車内が高温になってしまった場合に自らの意思で車外への脱出ができないことも多いでしょう。高温の車内に取り残されてしまうと、適切な体温調整ができなくなり、熱中症のリスクが極めて高くなります。密閉された空間だと汗をかいても体温が下がりにくいので、最悪の場合命が危険にさらされることも。
人やペットは、「もの」以上に絶対に「車内に取り残したままではいけない命」として、同乗する家族らが強く意識する必要があります。
「置き忘れ」への効果的な対策を日頃から意識することで、トラブルや事故の発生を防止しましょう。
◎車内チェックを習慣化しよう
「ついつい置き忘れをしてしまう」という場合、車を降りる前に「座席・足元・荷台」を確認することを習慣化しましょう。後部座席であっても、日中の太陽の動きで直射日光が差し込む時間帯もあるかもしれないので、何かを置いたまま車を離れることをしないように心がけることが大切です。
◎車内の環境対策を徹底しよう
直射日光を防ぐサンシェードや窓の断熱フィルム、エアコンのタイマー機能などで車内温度の上昇を抑えるのも有効な対策です。ただし、これらの対策をしている場合でも、絶対に子どもやペットを車内に残さないようにしましょう。
◎屋根付き駐車場を利用しよう
真夏の炎天下に車を停める際は、屋根付き駐車場を利用しましょう。直射日光を遮ることで、車内温度の上昇を防げます。ただし、屋根付きや屋内駐車場を選択しても、熱中症や事故のリスクを完全に防げるわけではありません。ここでも、車内に子どもやペットを絶対に放置しないよう心がけることが大切です。
炎天下の車内に子どもや動物が取り残されているのを発見したら、すぐに以下の対応をとってください。
◎まずは通報を!
まずは110番または119番に通報し、状況を正確に伝えてください。この際、車の場所、車種、ナンバー、内部の様子を具体的に報告するようにしましょう。
◎周囲に助けを求めよう!
近くの人に助けを求めながら、救出の準備を進めましょう。車内に取り残された人に命の危険がある場合、窓ガラスを割る行動が器物損壊の罪に問われないケースもあります。ただし、その際は中にいる人に危害が及ばないよう、「本人から一番離れている窓」を割るようにしましょう。フロントガラスは飛び出し防止のため割れにくい構造になっているので、サイドガラスを割るようにしてください。
◎救出後は移動・水分補給を!
救出したら、救急車が到着するまで要救助者に応急処置を施しましょう。意識がある場合は涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめて体を冷やしてあげてください。氷枕や保冷材、霧吹きを使ったり、うちわであおいだりして体温を下げるようにしましょう。その後、水分・塩分を補給してください。ただし、意識がない状態で無理に水を飲ませると、誤嚥や窒息のリスクがあるので注意しましょう。
いかがでしたか?夏場の車内は高温に達するため、スマホやモバイルバッテリー、眼鏡など日用品を放置すると発火の原因になりかねません。また、「短時間だから」と油断して子どもやペットを放置すると熱中症にかかり、命を落とす危険もあるのです。こうしたトラブルを防ぐためにも、「夏の車内に何かを放置することの危険性」について日頃から意識しておきましょう。
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