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10月10日は「目の愛護デー」とされていますが、ドライバーにとっても目を労わることは非常に重要です。車の運転中は疲労の蓄積も多く、安全運転のためにはきちんとしたケアを心がけなければいけません。運転中の目のトラブルによって巻き込まれる可能性がある事故を防ぐためにも、目の特徴について正しく知っておきましょう。
運転中は常に目によるピント調節が行われており、遠方の車や信号、車内のメーターやカーナビなどを確認しています。しかし、目は条件次第で錯覚を起こすケースがあることを覚えておかなければいけません。なかには、錯覚により生じる現象によって目が正常に機能せず事故に巻き込まれる恐れがあります。あらかじめどのような現象があるかについて知っておき、対策を考えておくことが重要です。
◎溶け込み現象
日没直後やトンネルに入ったときなどに多発する「溶け込み現象」は、黒色系の車が周囲の暗さと同化してしまい、車がそこにはいないと目が錯覚してしまう現象です。溶け込み現象による事故を避けるためには、ライトを早めに点灯させ、前方に車がいることを目に認識させる必要があります。
◎蒸発現象(ホワイトホール現象)
溶け込み現象とは逆に、トンネルなどから明るい場所へ出たときに起こるのが「蒸発現象」です。急に現れる日光などの強い光によって前方を走る白色系の車が見えなくなってしまい、溶け込み現象と同様に追突事故を招く恐れがあります。対策としてはトンネルを出る際にスピードを落とすなどして、明るさに目を慣れさせるといいでしょう。
◎コリジョンコース現象
たとえ見通しのいい交差点などであっても、目の錯覚で起きる「コリジョンコース現象」によって事故やトラブルに巻き込まれる可能性があります。コリジョンコース現象とは、直角に交わる見通しのよい交差点で、交差する車両同士が同じ速度・角度で迫ってくると相手の車が止まっているように錯覚してしまう現象です。この現象が原因で衝突事故を起こすケースは非常に多いため、交差点に差しかかったら十分にスピードを落とすなどの対策を心がけてください。
◎視覚吸引作用
大型車が対向車線に現れたり、何かしらの事故現場に遭遇したりしたとき、無意識のうちにそちらへ吸い寄せられるように近づいてしまうときがあるかもしれません。これは人間の視覚が意識と深く結びついていることから起こる「視覚吸引作用」が原因といわれています。追突を回避するためにも、視線をくぎづけとするような出来事が起きた際には意識して視線を散らすようにしましょう。
上記で紹介した現象は、目の状態や体調が万全でも起こり得るものです。しかし、目の疲労が蓄積すると視野が狭くなるなどして、より危険性が増してしまうのは間違いないでしょう。運転中に目が疲れてきたと感じたときは、いったん車を止めて遠くをぼんやり見つめるのが効果的です。逆に近くのものを見たり、目を回転させたりするのは疲労を促進させるため、避けたほうがいいでしょう。
目の疲れには目薬を差すのも大変有効です。目薬にはさまざまな種類があり、基本的に目を潤わせドライアイを解消してくれます。ただ、ドライアイの症状が強い方は、メントールやハッカ油などの目をすっきりさせる成分が入った目薬を差すとしみてしまう恐れがあるため、医療機関を受診して処方してもらったほうが安心です。
また、目を疲れさせないちょっとした工夫として、車のダッシュボードに物を置かないという方法があります。視界に入るダッシュボードに何かを置いていると、目が無意識のうちにピント調節を行ってしまいます。ピント調節を繰り返していると目に疲労がたまりやすくなるため、最近目がすぐ疲れやすいという方は車内の整理をして無駄な物は置かないようにしてみましょう。
いかがでしたか?運転において目の働きは非常に重要です。目の特徴を理解し、きちんとした対策をとることが事故回避につながっていきます。また、目に疲労を感じたときは、しっかりとしたケアが必須。安全運転のため、上記でご紹介した方法以外にも「メガネやコンタクトレンズの度を合わせる」「十分な睡眠をとる」などを心がけるようにしてください。