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最初の女性天皇として知られる推古天皇が611年に薬狩り(薬草採取)を催したことから、5月5日は全国医薬品小売商業組合連合会(医薬全商連)によって「薬の日」に制定されています。薬を飲んだ状態で運転する行為(服薬運転)は飲酒運転ほど注目されていませんが、実際は非常に危険なので注意が必要です。
今回は、服薬運転がなぜ危険なのか、服薬運転中に事故を起こさないためにはどうすればよいかについてご紹介します。
市販されている風邪薬の中には、パッケージに「服用後の運転は禁止」と記されているものがあります。こうした薬は副作用によって眠気・めまい・意識消失などが起こるケースも確認されているため、服用後の運転は絶対に避けなければなりません。薬を飲んだ状態で運転した場合、道路交通法第66条に違反するとして罰金や懲役が科せられるおそれがあります。
こうした法律があるにもかかわらず、服薬運転は飲酒運転に比べて軽く見られがちです。2014年に東京都と滋賀県で薬局に対して実施されたアンケート調査によると、「薬局に自分で車を運転していく」と答えた人は滋賀県で79%、公共交通機関が充実している東京都でも24%にのぼりました。薬局に行く人の中には、病院で投薬を受けた直後であったり、自ら薬を服用したりしている人も多くいます。そうした薬に、眠気を催す成分が含まれていたら……。万が一の事故を回避するためにも、「薬を飲んだり注射を受けたりした場合は運転しない」という意識を持つべきでしょう。
前述したような「服薬運転禁止」といった記載のない薬を飲む場合は、やや判断が難しいかもしれません。たとえば、抗うつ薬には服薬運転を禁止しているタイプとしていないタイプがあります。とはいえ、薬を服用している時点で平常時とは身体の調子が異なっているといえるため、薬のパッケージに運転禁止の記載がなかったとしても、運転はできるだけ避ける意識を持つようにしてください。
車を運転しないと日常生活に支障をきたす場合、医師や薬剤師に相談して「運転に影響しない薬」に切り替えてもらえるケースもあります。もちろん、切り替えてもらえた場合も服薬運転には細心の注意を払わなければなりません。確実に守っておきたいのが、処方薬の用法・用量です。
◎適切な用法・用量や飲み合わせを確認する
たとえば、高血圧患者が服用する降圧剤は、適切な服用をしていれば運転をしても問題ないとされます。しかし、用法・用量を間違えると、運転時の緊張により脳・心臓への負担が増えて脳梗塞や心筋梗塞につながる危険性があるのです。これは、糖尿病患者が服用する薬などにも同様のことがいえます。
もし自分が飲んでいる薬の用法・用量を完全に理解していないのであれば、薬局や病院でアドバイスを受けるようにしてください。複数の病院から薬を処方されている方は、飲み合わせについても相談しましょう。そのうえで車の運転を止められた場合には、しっかりとその指示を守る意識が大切です。
◎薬の保管にも要注意
日常的に車を運転している方の中には、車中に薬を保管している方がいるかもしれません。しかし、薬を車内に保管するのは大変危険です。特に夏場の炎天下では車内温度が80℃近くになることもあるため、基本的に高温な環境には弱いとされる薬が変質してしまうリスクがあります。薬が変質すると効果がなくなるだけでなく、身体に悪影響を与える可能性もあるため、車内での薬の保管は絶対に避けるようにしてください。
いかがでしたか? 薬のタイプによっては運転中に意識を失うおそれもある服薬運転は、飲酒運転と同じくらい危険な行為です。万が一服薬した状態で事故を起こせば、道路交通法違反として厳しく罰せられてしまいます。トラブルを避けるためにも、薬を飲んだときはなるべく車の運転は避けるよう心がけ、どうしても運転が必要な際は薬剤師に相談するようにしてください!