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日本列島に猛烈な寒波が襲う冬本番の時期になると、地域によっては雪道を運転する機会が増えるでしょう。雪道はスリップや視界悪化のリスクが高まるので、普段の運転以上に注意を払う必要があります。加えて雪道の運転時に覚えておきたいのが、「ホワイトアウト」と呼ばれる現象の危険性です。今回は、一歩間違えると命に危険が及ぶ恐れもある、ホワイトアウト発生時の対処法を紹介します。
ホワイトアウトとは、雪や雲などによって視界が真っ白になることで方向・高度・地形の起伏が識別できなくなる現象です。主に降雪時に生じるホワイトアウトは「白い闇」とも呼ばれており、運転中の視界が奪われる危険性があります。チラホラと雪が降り、道路にまったく積もっていない状態であれば、ホワイトアウトを心配する必要はありません。しかし、吹雪や大雪の天候下では、ホワイトアウトによって一瞬にして方向や地形が分からなくなる恐れがあるので、非常に危険です。
ホワイトアウトが生じやすい気象条件として、「-2℃未満の低温下」が挙げられます。低温下の場合、雪粒が結合しにくく、さらに水分が完全に凍るなどの条件から、雪が風 に舞い散りやすくなります。特に強風が吹き荒れている場合は、ホワイトアウト発生の条件がそろってしまうので、より警戒する必要が出てくるでしょう。
また、たとえ気温が比較的高く、風が吹いていない天気でも、雪片が大きな「ボタン雪」が大量に降っている場合は要注意です。雪片により視界が遮られることで、ホワイトアウトが生じるリスクもゼロではありません。
ホワイトアウトは、実際に人の命を奪うこともあります。2019年、北海道でホワイトアウトに巻き込まれた男性は、車が雪山に衝突したことで運転が不可能になり、降車。徒歩で自宅に向かったものの、凍死してしまうという痛ましい事故が発生しました。このように、ホワイトアウトは人の命を奪う事態にもつながりかねません。特に運転時の場合は事故発生率が格段に高くなるので、慎重を期す必要があります。
◎晴天時もホワイトアウトに要注意
雪が降っていなければ、ホワイトアウトに遭遇する危険性はないとお考えの方も多いでしょう。しかし、たとえ晴天でも雪道を走行している場合には、積もった雪が強い風で巻き上げられる「地吹雪」によって、ホワイトアウトが発生するリスクがあります。もし雪道を走る予定がある場合は、その地域の強風情報を確認したうえで、風が強いようならホワイトアウトを警戒しましょう。
車の運転中、ホワイトアウトに遭遇した場合、いくつかの行動をとらなければなりません。ここでは、特に覚えておきたい対処法について紹介します。
◎ヘッドライト・ハザードランプの点灯
ホワイトアウトに巻き込まれたら、真っ先に意識したいのがヘッドライトやハザードランプの点灯です。ホワイトアウトによって視界が遮られているのは、ご自身だけではありません。周辺の車も正常な距離感覚を失っているため、何らかの手段によって自車の存在をアピールしなければ、事故につながる恐れがあるのです。
ヘッドライトやハザードランプを点灯したら、速度を落とした慎重な運転を心がけ、安全な場所を探すようにしましょう。注意点として、ホワイトアウトだからと急に停車してしまうのは禁物です。後続車が停車の事実に気づかず、追突してしまう危険性があります。
◎警察への救助要請
ホワイトアウトに遭遇した際、周囲に避難できそうな施設がある場合には、注意を払いながら向かうようにしてください。しかし、もし近くに避難できる場所が見つからないようなら、警察の救助に頼る手段もあります。スマートフォンなどの通信機器に備わっているGPSをオンにしたうえで、110番をして自分の位置を伝えるようにしましょう。
また、救助が来るまでその場で待機する場合、注意したいのが一酸化炭素中毒です。車のマフラーが雪で塞がれると非常に危険なため、マフラー周辺の除雪や車内の換気を行いつつ、救助を待つようにしてください。
いかがでしたか? ホワイトアウトは運転時に巻き込まれると命を落とす危険もある、恐ろしい気象現象です。万が一遭遇してしまったら、今回紹介した対処法をしっかり実行し、身を守るようにしましょう。また、大切なのはホワイトアウトが生じそうな天気の日は、外出を控える意識です。日頃から気象情報をチェックし、大雪や強風が懸念される場合は、できる限り不要な外出を控えるようにしてください。