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運転は最初こそ難しさを感じるものの、経験を重ねて慣れることで落ち着いて安全運転ができるようになります。しかし、慣れてくるとついつい感覚に頼りがちになることも。そこで注意したいのが内輪差と外輪差についてです。乗る車が変われば当然内輪差や外輪差も変わります。この微妙な差が大きな事故につながる恐れもあるため、ここで内輪差と外輪差についておさらいしましょう。
内輪差および外輪差とは、車がカーブする際に前輪と後輪で描く軌道の差です。車は前輪の動きをハンドルで操作し、後輪は前輪に沿って動くため、カーブの際は車の前方と後方で動きにズレが生じます。内輪差と外輪差では注意点が異なるので、それぞれチェックしておきましょう。
◎内輪差とは?
内輪差は、車をカーブさせる際に生じる、内側の前輪と後輪の軌道のズレです。内輪差では後輪の軌道が前輪の軌道よりも内側を通ります。そのため、内輪差を意識できていないと「前方はうまく曲がれたが、後方が接触する」という事故につながることも。また、ハンドルを切りすぎたり、トラックなど前輪と後輪が離れている車種であったりするほど内輪差は大きくなるため注意が必要です。
◎外輪差とは?
外輪差は、車をカーブさせる際に生じる外側前輪と外側後輪の軌道のズレです。内輪差と同様に、後輪の軌道が前輪の軌道よりも内側を通ります。特に、バックでカーブする際は、前に進みながらカーブする時よりも外輪差が大きくなりがちです。そのため、駐車時などには特に外輪差を意識しておきましょう。
内輪差を原因とした事故にはいくつかのパターンがあります。どのような事故につながる恐れがあるのか、防ぐ方法と共に確認しておきましょう。
◎内輪差によって起こる事故とは
事故①:自転車や歩行者を巻き込む
内輪差を原因とした事故の中で、特に注意したいのが自転車や歩行者を巻き込むこと。左折や右折の際に、自転車や歩行者との距離を見誤ることで、後輪部分が接触してしまう恐れがあります。場合によっては人の命を奪いかねないため、ハンドルを切る前にしっかりと安全を確認しなければなりません。
事故②:縁石への乗り上げ
縁石への乗り上げも内輪差が原因で起こりやすい事故の一つ。縁石のギリギリを通ることで、後輪が縁石に乗り上げてしまうことがあります。縁石に乗り上げるだけであれば大きなトラブルにならないこともありますが、柵やガードレールが設置されていた場合は接触の恐れがあるため注意しましょう。
事故③:出庫時の接触
車庫や駐車場から車を出す際も、内輪差による事故が起こりやすいタイミング。隣に停車している車とのスペースが十分に空いていない場合、車の後方部分が接触してしまう恐れがあります。幅の狭い駐車場では特に起こりやすい事故です。
◎内輪差による事故を防ぐには
内輪差を原因とした事故を防ぐためには、以下のような点を意識することが大切です。
対策①:ミラーによる後輪確認
運転するうえで当たり前ではありますが、右折や左折の際にドアミラーで後方の確認をすることが大切です。「人が近くにいないか」「縁石部分や周囲の車との距離は適切か」などをしっかりと確認しながらの運転を心がけましょう。
対策②:常に後輪の軌道をイメージ
内輪差を原因とした事故の多くは、後輪の動きを予測できなかった場合に生じます。運転する際は、前輪と後輪では軌道が異なることを意識し、後輪がどのような軌道をたどるかを常にイメージしましょう。
対策③:ハンドル操作の調整
内輪差による接触事故はハンドル操作の工夫で回避できます。例えば、狭いカーブを走行するケースでは、できる限りカーブの内側の頂点と後輪が近い状態になったタイミングでハンドルを切ることで安全に曲がりやすくなります。
外輪差を原因とした事故は、バックでの車庫入れや縦列駐車の際に発生しやすい傾向があります。車をバックさせる際はつい注意が後方に向かいがちであり、隣の車や壁などにバンパーが接触するケースは少なくありません。
このような事故を回避するためにも、駐車スペースに車を入れる際は外側の前輪の軌道が膨らむことを意識しておくことが大切です。仮にバンパー部分が近くの車に接触しそうになったら、一度車を停車させて冷静に切り返しを行いましょう。
いかがでしたか? 運転に慣れると、つい車の内輪差や外輪差への意識を忘れてしまいがちです。しかし、そうした気のゆるみが重大な事故を引き起こす危険性があるため、どんな時も常に安全運転を心がけましょう。