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少しずつ気温が高くなり、車内でクーラーをつける人も増える季節。エアコンをつけた途端、「なんか臭うかも……」と思うことはありませんか?ニオイを放置すると、運転中の集中力低下や車酔いなどの原因にもなります。今回は、車のエアコンが臭くなる原因と対策、ニオイが運転にもたらす影響について解説します。
車のエアコンが臭くなる原因の多くは「カビ」です。カビは水蒸気が発生するような湿った場所や、高温多湿の環境を好みます。車内でこれらに該当する場所が、エアコン内部にある「エバポレーター」。エバポレーターとは別名「熱交換器」とも呼ばれており、外から取り込んだ空気を冷却し、車内に冷風を送り込む機能のことです。外気に含まれている水蒸気から熱を奪うため、エバポレーターの表面には結露が発生します。この結露が排出されずにエアコン内部に滞留することによって、カビが繁殖する原因となります。
エバポレーターに発生した結露は、基本的には車外に排出される仕組みです。ただし、結露が排出されるのはエアコンを稼働している間のみのため、短時間でエアコンを切ると本来排出されるはずだった結露がエアコン内部に残ってしまいます。また、長期間エアコンを使用していない場合も、エアコン内部の結露が排出されずにカビ繁殖の原因になります。梅雨や初夏に久しぶりにつけたエアコンから、嫌なニオイが漂ってくるのはこのためです。
ニオイを放置すると単に気分が悪くなるだけでなく、身体にも以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。
◎車酔いの原因に
2022年に実施された「車のニオイトラブルに関するアンケート 」の調査によると、62.3%の人が車内のニオイが原因で車酔いしたことがあるという結果に。「香害」という言葉があるように、ニオイが原因となって気持ち悪さや吐き気、頭痛などの症状を引き起こすことがあります。また、ニオイの感じ方は人それぞれなので、自分は我慢できる程度であっても、同乗者がいる場合はより気を付けなければなりません。
◎運転に集中できなくなる
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社の研究結果 によると、ニオイは集中力低下の原因になることが明らかにされています。集中力や注意力が散漫になるだけでなく、心理的にも穏やかさややる気が低下するといった結果に。漫然運転の原因にもなります。
◎喘息やアレルギー症状を引き起こす
カビが含まれた風を吸い込むと、喘息やアレルギーの原因になることも。アレルギーを引き起こすと、くしゃみ、鼻づまり、咳、目のかゆみ、肌荒れといった症状があらわれます。また、免疫力が低下しているときはカビから肺炎などの病を引き起こす原因にもなるため、幼児や高齢者が同乗している場合は特に気を付けましょう。
エアコンのニオイは自分で解決することもできます。ただし、あくまで緊急用の対策なので、繁殖してしまったカビを抑えることはできません。本格的にカビを除去したい方は、業者におまかせするのがおすすめです。
◎自分で解決する方法
・エアコン用消臭スプレーを使用する
市販のエアコン用消臭スプレーは一時的なニオイ対策に効果的です。エンジンを切った状態でエアコンの吹き出し口にスプレーし、その後エアコンを5~10分程度つけて喚起します。ニオイが気になったときにサッと使えるので、車に常備しておくのもおすすめです。
・エアコンの内部を暖房で乾かす(約10分)
エアコン内部を暖房によって乾かすことでカビの繁殖を抑えます。窓を全開にした状態でエアコンの暖房をつけ、最高温度・最大風量に設定して約10分運転します。エアコン内部の結露が排出されるだけでなく、車内の換気にもなります。
◎業者に依頼する方法
・エアコンフィルターを交換する
エアコンフィルターはゴミやホコリ、カビの胞子をキャッチする役割を果たしています。家庭用のエアコンとは異なり、車用のエアコンフィルターは外して掃除できないため交換が必要です。エアコンフィルターの汚れで悪臭が漂うこともあるので、年に1回くらいの頻度で変えるのが望ましいでしょう。
・エバポレーターを洗浄する
エバポレーターは自分で洗浄することもできますが、ダッシュボードを外して車の内部に触れるため、業者に依頼するのが安心です。エバポレーターの洗浄頻度は年2回、冷房を使い始める6~7月頃と使い終わる9~10月頃におこなうと清潔な車内環境が保てます。
いかがでしたか?エアコンから漂ってくる嫌なニオイは、気分や体調を悪くするだけでなく、運転中の集中力低下につながることがわかりました。今回ご紹介したエアコンのニオイ対策を定期的におこなって、安全なドライブを心がけましょう。