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10月1日は国際高齢者デー。高齢化が進む中で、高齢ドライバーによる事故や、免許の返納についてさまざまな議論が巻き起こっています。本記事では、高齢者の運転事情について解説。家族や自身の将来を想像しながら、高齢者の運転について今一度考えてみましょう。
◎高齢ドライバーは何歳から?
世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者としており、日本での高齢ドライバーの定義も「65歳以上の運転者」と定めています。高齢ドライバーというと高齢者マーク(もみじマーク・四つ葉マーク)を思い浮かべる人が多いと思いますが、実は高齢者マークをつけるのは65歳からではなく70歳から。さらに、貼り付けはあくまで努力義務のため、加齢により運転に支障をきたすおそれがある場合に、車体に貼り付けて運転するよう推奨されています。75歳以上のドライバーには免許更新時に認知機能検査が義務付けられており、検査の結果に基づいて免許の更新が判断されます。
◎高齢ドライバーの割合
令和6年版 交通白書 によると、60歳以上の免許保有率は全体の約30%を占めており、その半数が70歳以上のドライバーです。特に75歳以上のドライバーは年々増加しており、この年齢層が関与する交通事故も増加傾向にあります。事故の主な原因としては、アクセルとブレーキの踏み間違いや、一時停止無視、逆走などが挙げられます。また、加齢に伴う視力や反射神経の低下、複数の情報を同時に処理する能力の低下も、事故を引き起こす要因となっています。
◎まずは定期的な健康チェック
自分自身では問題ないと思っていても、知らず知らずのうちに危険な運転状態になっているというケースは多くあります。これらの背景には、認知症や白内障・緑内障といった病が隠れている恐れも。まずは定期的な検診やかかりつけ医への相談をおこない、他者からみて健康状態に問題がないと判断される状態で運転することが大切です。
◎サポカーに乗り換える
サポカー(安全運転サポートカー)とは、安全運転機能を搭載した車のことです。主な機能としては、自動ブレーキやペダル踏み間違い防止システム、車線逸脱警報、駐車支援システムなどが搭載されており、高齢ドライバーが安全に運転できるよう設計されています。事故リスクを軽減し、心理的にも高齢者が安心して運転を続けられます。
◎急発進抑制装置を取り付ける
「新車に乗り換えるのは予算が厳しい……」という方は、今乗っている車に急発進抑制装置を取り付けるのがおすすめです。急発進抑制装置とは、ペダルの踏み間違いやアクセルのベタ踏みに反応し、急発進を防止する機能のこと。数万円程度の費用で今乗っている車に後付けできるので負担も少なく済みます。
原則として、免許の返納には年齢制限がありません。高齢者でなくとも、運転の必要がないと判断すれば誰もが免許を返納できます。ただし、一度免許を返納してしまうと取り消しや再発行はできません。返納後に再度運転したい場合は、学科試験や実技試験を一から受け直すことになります。そのため、高齢ドライバーにとって免許返納のタイミングは、今後の生活を左右する重要な決断となります。
先述した通り、日本では75歳以上のドライバーが免許を更新する際は認知機能検査が義務付けられており、この検査において自身の視力や判断力に不安を感じた場合は無理に免許を更新せず、返納を検討することが推奨されます。しかし「自分は大丈夫だろう」と過信してしまうケースも多く、親族が「免許を返納してほしい」と促しても頑なに拒否されてしまうという問題も。高齢ドライバーにとっては、車が使えなくなることで移動手段が制限されたり、運転する楽しみがなくなってしまったりというデメリットもあるため、双方で免許返納に対するメリット・デメリットを整理した上で話し合いをおこないましょう。また、一部の地域では免許返納者に対するバス・タクシー料金の割引や優待サービスが提供されています。そういった制度もできるだけ活用し、車がなくても快適な生活が送れるように社会がサポートしていくことも大切です。
いかがでしたか?高齢ドライバーの数は年々増加し、残念ながら交通事故の件数も増えてきています。適切なタイミングでの免許返納が望ましいですが、生活の移動手段がなくなってしまう人にとっては極めて難しい問題ですよね。安全で安心できる交通社会を築いていくために、先進技術を活用しながら家族や社会全体で支え合っていくことが求められます。