本格的な夏の到来に向け、さまざまな準備をしている方も多いのではないでしょうか。その際忘れずにしておきたいのが、愛車をしっかり「夏仕様」にしておくことです。準備不足が事故に直結しやすい冬に比べると、夏は車への準備意識が薄れがちかもしれません。しかし、夏だからこそ注意点しなければならない点が、多々あるのです。

夏タイヤにチェンジする重要性

車を夏仕様にするうえで、もっとも意識しておきたいのが「タイヤ」です。冬場のタイヤは「スタッドレス」にしておくのが基本ですが、冬が終わったあともそのまま使い続けているという方は意外と多くいます。

スタッドレスタイヤの特徴は、凍結道路や雪の積もった道路であっても高いグリップ力を発揮してくれるところ。「冬場の悪条件の道路でもグリップが効くのだから、夏場はより高いグリップが期待できる」と考えている方がいるかもしれません。しかし、スタッドレスタイヤのグリップは冬の低気温下で機能するように設計されており、夏の暑さの中では性能をまったく発揮できないのです。

スタッドレスタイヤのトレッド面は、夏タイヤに比べて柔らかい作りになっています。これにより凍結した路面でもスリップしにくくなっているわけですが、スリップのリスクが低い夏場は、ただ乗り心地や操縦安定性などに悪影響を与えるだけ。それだけでなく、燃費が悪化する原因にもなるため、なるべく早めにタイヤチェンジをしておくのが賢明でしょう。

◎タイヤをチェンジする際のポイント
夏タイヤへのチェンジはカーショップを利用すると安心ですが、自分で交換する際に注意しておきたいのが「タイヤの回転方向」です。回転方向が決まっているタイヤを逆に履いてしまうと、グリップが弱くなったりロードノイズが大きくなったりします。タイヤの回転方向が示されているなら、しっかり従うようにしましょう。

なお、交換時は車体を固定できるリジッドラックを使うようにしてください。「手間だから」と、ジャッキのみで交換しようとするのは危険です。タイヤは車にとって非常に重要なパーツのため、自分だけの作業に不安があるならカーショップで交換してもらったほうが良いでしょう。

夏に徹底したい紫外線対策

愛車を夏仕様にするなら、欠かせないのが「紫外線対策」です。紫外線を人体に浴びすぎると悪影響が及ぶのは周知の事実ですが、車も同様で、塗装やプラスチックパーツが劣化するなど小さくないダメージが加わります。

特に無視できないのが、塗装へのダメージです。どんな塗装でも紫外線によるダメージは避けられませんが、中でも赤や黄色といった暖色系は影響を強く受けてしまいます。紫外線対策を何もしないままボディを夏の太陽にさらし続けていると、いつの間にかカラーが色あせてしまうでしょう。

カラーだけでなく、グリルやバンパーといったゴムのパーツにも、紫外線は深刻なダメージを与えます。こちらも放置しているとどんどん劣化は進み、最悪の場合には早期の部品交換を迫られるかもしれません。こうしたケースを防ぐためにも、しっかりとした紫外線対策が不可欠です。

紫外線対策で役立つアイテム・方法

紫外線対策を車に施すには、いくつかのアイテムに頼る必要があります。まず用意しておきたいのが「UVカットフィルム」。車のフロントガラスに貼れば、人体だけでなく車の中の部品を紫外線から守ることができます。最近では傷がつきにくいハードコート処理がされたフィルムが販売されていますが、もちろん運転に支障をきたす心配はありません。

車のボディを紫外線から守るには、「コーティング」がもっとも効果的です。コーティングをすれば塗装の上に被膜ができ、紫外線を防いでくれます。コーティングは自分でもできますが、完璧な仕上がりを望んでいるのであればカーショップなどでプロに任せましょう。

いかがでしたか？　本格的な夏を迎える前に、愛車を夏仕様にしておくのを忘れないようにしておきましょう。夏本番になってからでも対策はできますが、その間にも暑さや紫外線によるダメージが蓄積されていきます。夏という季節を甘く見ず、アイテムを使用したりカーショップに作業を依頼したりして、しっかりと準備をしておいてくださいね。