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夏は台風や集中豪雨などにより、水害が多く発生する季節です。日常生活の中で注意をしておくのはもちろんですが、車の運転時にも水害への警戒は常にしておかなければなりません。万が一運転中に車が冠水・水没してしまったときには、正しい対処をしなければ危険が及ぶ可能性があります。8月1日は「水の日」とされていますが、このタイミングでしっかり対処法を理解しておきましょう。
8月は、台風・集中豪雨・洪水といった「水害トラブル」が多いというイメージがあるかもしれません。実際、気象庁のデータを見てみると、1951~2018年の間に日本へ台風が上陸したのは201回で、そのうち8月の台風上陸数は71回(最多)にのぼります。
台風が上陸すると、それに伴って洪水などが発生するリスクも高まるもの。加えて、近年では地球温暖化によってなのか、「ゲリラ豪雨」という言葉に表される局地的な大雨が多くなっています。
8月の水害として記憶に新しいのが、2014年に発生した「平成26年8月豪雨」です。2つの台風とその後に降り続いた大雨を原因として、京都府では洪水被害が、兵庫県や広島県では土砂災害が発生し、多くの死者が出るなど甚大な被害をもたらしました。
また、平成最大の水害といわれた「平成30年7月豪雨」でも、8月に東北地方や北信越で国土交通省が災害情報を出すほどの大雨が発生しています。このように、最近では8月の水害が頻繁に発生しているため、運転中は常に警戒心を持っておいたほうがよいでしょう。
運転中に車が冠水・水没すると、パニックに陥りとっさの判断ができないケースがあります。そこで、冠水・浸水を回避するためまず知っておきたいのが、「どの程度の浸水まで車は走行できるのか」。どの時点で車から避難したらよいかを把握しておけば、最悪の事態は避けられるはずです。
浸水量 | 走行状態・車両状態 |
0~10cm | 問題なく走行ができる |
10~30cm | ブレーキ性能が低下する |
30~50cm | エンジンが停止する |
50cm~ | 車が水面に浮く/パワーウィンドウが作動しなくなる |
基本的には、ブレーキ性能が低下する10~30cmに達した時点で「急いで冠水エリアから離れる」「冠水エリアを離れるのが難しいなら車から避難する」といった行動が求められます。
また、豪雨の際は線路・道路の高架下といった場所を極力避ける意識が大切です。周囲に比べて低い場所は想像以上に水がたまりやすくなっており、目視では水深がどの程度になっているかの判断がつかないケースも多くあります。こうした場所に進入してしまうと簡単に車両が浮き上がってしまうため、運転が困難になります。その場合は無理に運転を続行しようとするのではなく、エンジンを停止したうえですぐに脱出するようにしましょう。
◎車が冠水・浸水した後の行動
車が冠水・浸水してしまったら、まずは「レッカー車を呼ぶ」という行動が最優先です。自分だけで何とかしようとして、水没した車に近づくのは危ないので絶対にやめましょう。車の損傷次第では、バッテリーの電気によって感電する恐れもあります。
レッカー車に愛車を移動してもらったら、次は整備工場かディーラーに持っていきます。水没した車の場合、見た目は大丈夫そうであっても、実際にはいくつかの部品が故障している可能性が考えられます。専門家にしっかりチェックしてもらってから、再び乗るようにしてください。
ただし、1度水没した車はカビや雑菌が発生しやすくなっており、臭いが気になるケースも少なくありません。できることなら買い替えを検討したほうがよいでしょう。
◎水没した車と保険
基本的に水没した車は保険の対象となり、全損の場合は事前に設定していた保険金が、部分損傷の場合は該当する修理費用が発生します。全損扱いになるのは以下の例となるため、覚えておきましょう。
・水没によってエンジンが完全に故障し修理不可能となった場合 ・修理の費用があらかじめ設定していた保険金額以上となる場合 |
なお、水没が津波によるものだった場合には車両保険が適応されないため、注意してください。
いかがでしたか? 夏はさまざまな水害が発生しやすい季節であり、いつ自分や自分の愛車が巻き込まれるか分かりません。巻き込まれてからパニックに陥らないため、普段から冠水・浸水のトラブルを想定し、しっかり対策を練っておく必要があるでしょう。「自分は大丈夫」という根拠のない自信は抱かず、常に警戒心を持つようにしましょう。